妊娠中の運動は安全?
やみくもな運動は妊婦や胎児にとって危険な可能性があります。
大原則として、運動を始める前に主治医の先生に相談をしましょう。
実際には、ほとんどの妊婦と赤ちゃんにとって、運動は安全で健康的です。
あなたが健康な場合、運動しても流産や早産のリスクを高めることはないと言われています。
妊娠中はどれくらい運動したら良い?
健康な妊婦は、毎週少なくとも2時間半の有酸素運動が推奨されています。
激しい運動ではなく、運動しながら会話できる程度の余裕を持って行いましょう。
負荷量を調整しやすいウォーキングも非常に有効です。
ちなみに、2時間半を一度に行う必要はありません。
1週間を通して分割するイメージです。
例えば、毎日30分運動をする。これがものすごい負担に感じる場合は、毎日10分の運動を3回行う。これもOKです!全て続けて行う必要はありません。
妊娠中の運動の効果とは?
運動の効果は以下の通りです。
- 心と体を健康に保つのに役立値ます。運動はあなたの気分を改善し、持久力を向上させます。心臓、肺、血管を強くする効果があります。
- 妊娠中の極端な体重増加を防ぐ効果があります。
- 便秘や背中の痛み、足や足首、ふくらはぎのむくみなど、妊娠中の不快感を和らげる効果があります。
- ストレス解消に役立ち、よりよく眠る手助けをします。
- ※妊娠糖尿病(にんしんとうにょうびょう)や子癇前症(しかんぜんしょう)などの妊娠合併症のリスクを減らす可能性があります。これらの状態は、早産や妊娠中の合併症のリスクを高める可能性があります。
- 帝王切開のリスクを減らすのに役立ちます。
- 陣痛と出産に備える身体を作ります。ヨガやピラティスなどの活動は、呼吸、瞑想、陣痛の管理に役立ちます。心を落ち着かせる方法としても有効です。※妊娠糖尿病は、妊娠中に起こる糖尿病の一種です。
子癇前症は一部の女性が妊娠または出産後に生じる高血圧の一種です。
妊娠中でも安全な運動
あなたが健康な場合、妊娠前の運動をそのまま続けることができます。負荷や種目については相談が必要です。たとえば、ランニングやテニス、その他の運動は、妊娠中にトレーニングできる可能性があります。妊娠後期にお腹が大きくなってくると、運動内容を変更したり、制限する必要があるかもしれません。
運動は楽しんでできるものがおすすめです。まずはゆっくりと始めて、少しずつ負荷量を調整していきましょう。まずは5分の運動から始め、徐々に時間を延長し、30分を目指していくようなイメージです。
以下の運動は一般的に妊娠中も安全です。
- ウォーキング
関節や筋肉に負担をかけない手軽にできるトレーニングです。
初心者の方におすすめ。 - 水泳や水中ウォーキング
浮力で赤ちゃんの体重を支えることができます。関節や筋肉に負担が少ないのでおすすめ。腰痛がある場合など水泳を試してみてください。 - エルゴメーター(固定自転車)
サイクリングは転倒や転落の危険がありますが、固定型の自転車はその点安全です。心拍数の管理もしやすいのでぜひ取り入れてください。 - ヨガやピラティス
まず、ヨガやピラティスの先生に妊娠していることを伝えましょう。妊娠中の女性にとって危険なポーズもあります。マタニティに詳しいインストラクターの元で行いましょう。 - 筋力トレーニング
筋肉を増強し、妊娠中の腰痛予防や姿勢を整える役割があります。程度によりますが、ウェイトトレーニングも可能です。負荷量については主治医か理学療法士に相談を行いましょう。
運動はすべての妊婦にとって安全?
一部の女性にとって、妊娠中の運動は安全ではありません。この判断は自分で行わず、必ず主治医の先生から説明を受けるようにしましょう。
細かい内容についてはここでは割愛します。
妊娠中に危険な運動とは?
以下は妊娠中に危険な運動です。
- 乗馬、スキー、サイクリング(オフロードなど)、体操、スケートなど転倒や転落の可能性のある運動
- アイスホッケー、ボクシング、サッカー、バスケットボールなどのコンタクトスポーツ
- 腹筋のように(妊娠3ヶ月目以降)に仰向けになる運動。
※仰向けになると、子宮が静脈に圧力をかけます。場合によっては血圧が低下し、赤ちゃんへの血流が制限される可能性があります。 - 水上スキー、サーフィン、ダイビングなど
衝撃や強い水圧を受けるものは危険です。 - スカイダイビングまたはスキューバダイビング
スキューバダイビングは減圧症のリスクがあります。これは、胎児に悪影響を及す可能性があります。 - 高地でのトレーニング
普段高地で生活している人を除いて、慣れない高度でのトレーニングは胎児に悪影響を及す可能性があります。 - ホットヨガ
暑くて湿気の多い日に外で運動するなど、体温が高くなり過ぎてしまう運動は危険です。長風呂やサウナも控えましょう。
妊娠中の身体の変化
- バランスを崩しやすい
胎児の成長にともない、バランスを崩れやすくなります。 - 体温が上がる
妊娠中は体温がわずかに高いです。そのため妊娠前より汗をかきやすくなります。 - 呼吸が速くなる
赤ちゃんが発達することで、より多くの酸素が必要です。赤ちゃんの成長は、呼吸を助ける筋肉の横隔膜に圧力をかけます。時には息切れを感じることもあるでしょう。 - 心拍数が上がる
あなたの心臓は、赤ちゃんに酸素を送るため、妊娠中に懸命に働き、より速く鼓動します。 - 関節が緩くなる
女性ホルモンの作用で、関節を支える組織がリラックスします。
デリケートな状態であるため、関節に負担をかけたり、傷つけたりする動きは避けましょう。
運動中の警告サイン
以下の症状がある場合は、運動を中止して、主治医に相談をしましょう。
- 膣から出血する
- 胸が痛む、心拍数の異常、呼吸困難
- めまいや失神
- 頭痛
- 力が入らない、下肢の痛みや腫れ(DVTの兆候である可能性があります。
※DVTとは、血栓が形成されると起こります。未治療の場合、深刻な健康問題や死に至る可能性があります。)
出産後、いつから運動始める?
主治医の先生に相談をして、いつから運動を始めても良いか確認をしましょう。
合併症のない経膣分娩の場合、通常は、出産後数日後または準備ができたらすぐに運動を始めることができます。
帝王切開や合併症がある場合は、運動の開始が少し遅れる可能性があります。このあたりは身体の状態や個人差、環境の影響もあるので、無理は禁物です。
まとめ
・まず、運動しても問題ないか、主治医の先生に確認をしましょう。
・健康な妊婦の場合、ウォーキングや水泳などの有酸素運動を少なくとも毎週トータルで2時 間半行いましょう。
・運動は、妊娠中の合併症を軽減し、腰痛や尿もれなど妊娠の不快感を和らげます。
・バスケットボール、ホットヨガ、スキー、乗馬、スキューバダイビングなど、一部の運動は危険です。
産前・産後の運動は非常に重要です。
主治医や理学療法士のもとで適切な運動を習慣に取り入れましょう!
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